さんぽみちのちしつColumn
第4話 ~断層の幅って~
2021年03月31日(水)
断層は地層が破断して食い違いができる現象であり、動き方には縦・横・斜め、いろんなタイプがある。東北を含めた東日本は、プレートの動きの関係で東西方向から常時強い圧縮力を受けている。そのためその歪みを開放すべく弱い部分がブツンと切れて、一方の地盤がもう片方の上にのし上がる“逆断層”となる。
私の卒論の地、山梨県北杜市には、有名な糸魚川-静岡構造線(フォッサマグナの西側断層)が走っている。この断層、現地で見てもその幅や動きの方向が良くわからないほど規模がデカい。破砕帯(岩が砕けた地層)が延々と連なり、片側は八ヶ岳の裾野に消えている。つまり、断層は規模が大きくなればなるほど数多くのすべり面や破砕層を含み、単純な“断層”のイメージから遠のく。拙稿1回目に示したZ型に切れた断層の写真など、ごく小規模な断層だからこそ明瞭な構造が見て取れるのである。
寒河江市街地には長岡山東側に明確な岩盤の消失ラインがあり、従来これを「寒河江断層」と呼んできた。現在、国が公表する断層マップでは市東部、ほなみ団地付近に活断層が示されている。(マックスバリュウ寒河江中央店の裏あたり)それでは既知の寒河江断層と、このほなみ団地の活断層は別物かと云うとそうでも無い。つまり、規模の大きな断層では、いま一番活動性の大きな部分が“活断層”と示されているだけで、断層の根っこは同一の“断層帯”である。断層の西端が長岡山あたりと云うだけで、東側の端は良くわかっていない。もはや寒河江市街地は断層の破砕帯の上に丸ごと乗っかっていると云っても過言ではないのである。
今、“活断層がここにあるから学校や病院などの重要施設を別の場所に移転すべきだ”なんて論議がある。でも将来、必ずしも今わかっている活断層のラインで動くとは限らないし、そもそもいつ動くかも判らない。あまり気にしてもしょうがないと私は思うのだけれどね。
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