2023 10月のアーカイブ

第40話 ~山のいで湯はなぜ白い~

 奥羽本線、峠駅。米沢と福島間の板谷峠にあるこの駅は、かつてスイッチバックで分かれた引き込み線に駅舎があった。その近くに「峠の力餅」と記された小さな店舗がある。家屋は他に一軒も無い。峠駅を最寄り駅とする温泉旅館が2軒、山奥にあるだけだ。こんな人里離れた一軒家の店舗だが、今も老夫婦が餅屋を営んでいる。温泉の土産品として、また、上下合わせて1日6本だけの普通列車の乗客のために毎日、力餅を作っている。


 峠駅からおよそ8㎞、2時間以上も山道を登った先に姥(うば)湯(ゆ)温泉がある。ゆらゆらと不気味に揺れる吊橋を渡った先、斜面にへばりつくように建つ木造の建物は、旅館というより山小屋のイメージに近い。その先に、自然石で囲まれた露天風呂が設けられている。周囲は荒々しい岩肌が迫り、崖面から水蒸気が立ち昇る。頭上は遮るもののない濃紺の青空が迫る。まさに自然に抱かれた絶景の秘湯である。姥湯は、蔵王や吾妻高湯、乳頭温泉などと同じ火山性の酸性硫黄泉であり、乳白色の濁り湯に特有の湯香が漂う。遮るもののない大自然の中で裸になり湯に浸かると、限りない開放感と風景に没する卑小感を同時に感じる、形容しがたい独特の感覚を味わえる。

 ところで、硫黄泉には大きく分けて二種類あるのをご存じだろうか?一つは、この姥湯のように白濁した酸性硫黄泉で、硫黄泉と言えば誰しもがこのタイプを思い浮かべる、ザ・山のいで湯である。正式には「遊離硫化水素型」と言われるタイプの硫黄泉で、源泉から湧出した瞬間は無色透明であるが、空気中の酸素と反応して硫黄成分がコロイド化して析出し、白濁した湯となる。蔵王をはじめとして活火山の熱源から直接湧き出す温泉に多い。もう一つは単に「イオウ型」と呼ばれ、pHが中性~アルカリ性を示すもので、火山から遠く離れた平地に湧く事が多い。硫化水素やチオ硫酸などがイオン状態で溶け込んだもので湯色は、無色から黄色・薄緑色の入浴剤のような色を示すものなどさまざまである。含まれる硫黄分は、ある種の菌により有機物が地中で分解したもので、火山脈とは直接の関係はない。県内では舟唄温泉や湯チェリーなどが挙げられ、新潟の月岡温泉も同じ系統だ。

 これら硫黄泉では、白濁した「酸性硫黄泉」の方が刺激が強いようなイメージがあるが、実は平地に湧く「中性・アルカリ性」の温泉の方が体への負担が大きく、湯あたりもし易いのだという。
山形県は、思い立ってすぐに行ける近場に温泉入浴施設が必ずある。我々にとって当たり前でも、他県の人から見たらうらやましい環境なのだろう。今年の夏は猛暑で、とても温泉などという気分にはならなかったが、これからの秋冷の夜長や雪のちらつく風景に、湯の香が恋しくなる季節がすぐそこまで来ている。

 

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SPARK Vol.56

10月に入り、本格的に秋めいてきましたね🍂

もう冬が来てしまうのでは無いかと思ってしまうほど気温も下がってきましたね🥶

季節の変わり目で体調も崩れやすいと思うので暖かい格好をして過ごしましょう💪

さて、SPARK Vol.56が発行されました!

画伯を探せや、大人気のシン・至極の一杯など今回も楽しい企画が沢山ですよ😆

健康かわら版では、サントリープラスのウォーキングイベントについて掲載されています!🐶🐱どちらが勝つのか楽しみですね🤭

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